東京地方裁判所 昭和27年(ワ)220号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実〕被告組合は、原告公団から甘藷生澱粉の配給を受け、これを以て焼竹輪を製造し、利益を得て販売することを目的として、焼竹輪製造業者を組合員として組織された、人格なき社団である。原告は、被告組合に売渡した焼竹輪の原料たる甘藷生澱粉及び容器の売買代金について、被告組合に支払を求めるほか、商法五一一条一項を根拠として、組合員たる他の被告等(一部は組合員たることに争いがある)に対して、被告組合と連帯して支払うべきことを求めた。
〔判断〕判決は次のように説明して、連帯債務の主張を排斥し、かつ組合員に従属的責任を認めた。
「原告公団は、右被告等は被告組合と連帯して代金支払義務があると主張するけれども、被告組合員が構成する被告組合と組合員との間、即ち全体と個々との間に、連帯債務の成立し得る余地はないと考える。しかしながら一面において、被告組合の債務は、以下に述べるモデイフイケーションを除外するとすれば、それ自体、右被告三十一名の債務であるということができる。この場合、組合と組合員の債務とにいかなる関係が成立するかは、成文法の根拠がないから論理を以てこれを解釈するの外はない。さて合名会社等いわゆる人的会社の内部関係については、組合を以て律するを相当と考えられるのであるが、被告組合のように、商行為をなすことを目的として設立せられ、民法上の組合に比してその団体性に於て稍高度なるものあるを認ざるを得ない組合については、その外部関係に関し人的会社に関する法条を準用することが妥当であると考えられる。即ち被告組合員については、商法五一一条一項を直接適用することをなさず、商法八〇条を準用することが事実に即した解決を得る方法であると思われる。従つて、被告組合員である前記被告三十一名は、被告組合がその組合財産を以て前記債務を完済することができないときに限り、原告公団に対し各自連帯して支払義務があるといわなければならない。商法五一一条一項を適用するについては、その債務を生じる商行為が、一の行為であることを要すると解せられているのであるが、原告公団が自ら主張するように、本件売買代金は数口の取引から生じているのであるから、被告組合が継続性を有し、原告公団と前記期間にわたり取引をした事実に鑑み、右法条を適用するよりも、団体として継続性を有する合名会社に適用される商法八〇条を準用することが、妥当なる解決を得る所以と言わざるを得ない。蓋し、組合財産は会社財産に比し、強力な担保力を有することを否定せざるを得ない場合が多いであろうが、本来組合財産を以て組合債務を完済し得るときは、組合員に連帯債務を認めることを要しないと解すべきであり、その趣旨に於て、組合員は従属的責任を負担するというべきであるからである。」